オブジェクトを書く上で面白くする方法論

オブジェクトを書く上で心掛けていることはありますか?異常性に新規性を取り込むことやストーリーラインを強化することもそうですが、わたしはこの様に考えています。

異常性とストーリーラインを結びつけるところからそれぞれ解説していきましょう。

異常性とストーリーラインを結びつける理由

異常性とストーリーラインを結びつける理由は単純です。「このオブジェクトでしか出来ないストーリーライン」でないと面白くならないからです。事実、ストーリーが面白くても異常性と結びついていなければそれは独立した要素です。また、それ以外にも「このオブジェクトでやる必要性」が無ければそれはオブジェクト特有の物語では無いのです。

オブジェクト特有の物語を作るには、このオブジェクトが何をするか、何ができるか、から考えていくのが一番の近道でしょう。

「ちょっと待ってよ!異常性がしょぼくても面白い記事もあるじゃん!」

確かにありますね。例えば ― SCP-511-JPやSCP-4826が挙がるかもしれませんね。SCP-511-JPは、"再生する度にランダムなタイミングで不明なノイズと画像が挿入される"というのが、SCP-4826は"自殺する事が不可能"というものですが、それぞれ独自性があります。では、そこも解説していきますね。

SCP-511-JP - けりよ

SCP-511-JPの異常性はAnomalousと言われてもしょうがない程他のオブジェクト ― 日本支部の有名どころでいくとSCP-444-JPやSCP-280-JPが当てはまります ― と比べれば確かに小さい異常性です。しかし、SCP-511-JPは独特の不気味な雰囲気/画像から始まることで読者を世界観の中に引き込むことに成功しています。そして世界観の中に引き込んだあとは、民俗学的なホラー要素を盛り込むと同時に伏線や考察要素を入れることで読者の興味を煽ることに成功しています。

SCP-4826 - いつ死ぬかは俺が決める

SCP-4826の異常性である自殺不可能というものは本来でしたら言い方が悪いですがオマケ程度のものです。しかし、何故ここまで評価されているかですが、本来であれば"完璧" ― 自殺だけではなく他殺に対する耐性を有していますね?SCP-4826でここまで評価されたか ― それは情報の出し方にあります。SCP-4826の情報の出し方はこのような感じです。

  1. SCP-4826は死に対する耐性があるかも知れない
  2. SCP-4826は自殺/自傷行為を繰り返し行っていた
  3. 折りたたみ構文を用い、興味を高める
  4. 自殺に対する不死性のみがあると推測

この様に、ミスリードを誘い、事象を仄めかすことで読者に考察をさせ、そこから正解を明かす、という情報の出し方、手法は読者の脳に「考える楽しさ」を与えます。この「考える楽しさ」は考察系統の記事を作る上でかなり大事になってきますが、その他の記事でも使われることがあるので、一つの手法として頭の片隅に入れておいてください。

この様に、異常性の規模が小さい記事には、読者を楽しませる工夫が少なからずされているのです。

オブジェクトの特性を取り込んだ斜め上のオチを用意する

オブジェクトの特性、それは性質や異常性、外見等があります。それらを取り込んだオチと言うのは大抵の記事でも取り入れられています。自著ですと、SCP-2261-JPが例として挙がります。SCP-2261-JPのオチと異常性を簡単に表すと「非異常性の物品と手紙が出現する」というものが異常性、オチは「オブジェクトが普段と異なった挙動をし、物品のみを出現させ、無力化」というものです。この場合は、異常性の要素 ― オブジェクトの特性を ― 少なからず取り込んでいます。では、斜め上のオチとはどういったものでしょうか?それをここから説明させていただきます。

斜め上のオチ、それは読者の想像を良い意味で超えるオチです。まあ、大半の人は分かっているかと思いますが、オチの前でテンポが乱れたり急に熱が冷めたりしてしまえばそれは読者の没入感を削いでしまいます。これがあるだけで斜め上のオチを出されても「ふーん」で終わってしまうことが多いでしょう。少なくともわたしはそうです。これでは読者の想像を悪い意味で超えてしまいます。

また、斜め上のオチを用いている記事としては、また自著(共著)であれですがSCP-2610-JPがあります。SCP-2610-JPの内容は人類に発生する段階を踏んだ自殺誘導ミームと、自殺を試みた人物に発生する反ミーム性です。途中 ― 起承転結の転に当たる部分 ― である日誌パートでは、心身共に衰弱していき、最後に自殺する、というものであり、多くの人が死んだ、と思わせる構成になっていますが、オチは自殺した人は生きていて、誰にも気付かれぬまま弱っていく、というものです。これは、死ぬと思ったというタイミングで実は生きてた、というものであり、読者の虚を付いています。よくマンガや小説でもこの構成は見かけますね。

このパートは分かりづらいかも知れませんので、端的に言います。斜め上のオチとは読者が予想し得ない内容を叩きつけるものになっています。

バックストーリーをコピペバックストーリーにしない

これは他のエッセイでも語られているほど初歩的な内容です。まず、個人的なコピペバックストーリーの定義とは

〇〇が病気で〜

〇〇が〇〇されてて〜

と言ったものです。勿論、コピペバックストーリーでも上手く使えばそれなりには仕上がります。SCP-2309-JPみたいにね。ただ、上手く使えなければ言い方が悪いですが、駄作のようなものになってしまいかねません。

コピペバックストーリーに関しては、より多くの記事を読むことで避けることが容易になります。なのでこの項で言えることはより多くの記事を読み、吸収すること、これに限ります。より多くの記事を読むことで新規性のある記事を作ることにも繋がりますし。

しかし、注意点として読む記事は最近の記事一覧のものにしてください。シリーズⅠと言った初期の記事は、最初期の流行りが強く反映されており、テンプレートの参考にはなりますが、展開としては最近の流行りが必要になってくるので役に立つとは言い難いです。最近の流行りを掴むことで、見えてくるものがあります。

オチで落差を作ったりハッとさせる

これは、落差を作る場合なら遠い事象から近い事象(その逆も然り)にするなどと言ったこと、ハッとさせるならオチまで主題やスポイラーを隠し、オチでそれを開放するといった構成になります。それぞれ、段落を分けて説明しますね。

落差をつくる

さて、先程遠い事象から近い事象と言いましたが、これについて具体的な例を交えながら解説していこうと思います。

例として、宇宙人という存在は、我々の側にはいない所謂離れた存在ですね。しかし、何故宇宙人がここまで怖がられるか、それは"ヒトに擬態して潜んでいる"という情報があるからです。正直、この情報が無ければ宇宙人はちょっとヒトと姿が異なる存在でしかありません。しかし、ヒトに擬態して潜んでいるという情報が入ることで人々は想像します。「なぜ擬態するのか」、「どのようにして擬態するのか」などといった風にね。ここから物語が発展していくことで怖さ、面白さが出るのです。我々の近くにいないものを近くにいるように描写することで人々はリアリティを獲得し、想像し、個人個人の物語を発展させていきます。

SCP-2770-JPはなぜ面白い?「虫が脳に巣食うから」ではありません。「アイスクリーム頭痛の正体が虫によって引き起こされるもの」だからです。つまり、わたしたちが普段住んでいる世界の中で身近に思うことをオチに持ってくること、あるいは身近なものは世界規模のものだったとさせることで落差を作ることが出来ます。

ハッとさせる

ハッとさせる場合、基本的にSCP-4826の構成の時に言ったミスリードが大事になってきます。ミスリードを使い先入観を与えたところに先入観を破壊する描写、展開を持ってきましょう。これについては、要するにこういうことです。

〇〇って□□だと思ってたけど△△だった!

こういうことです。穴埋めをしてみて例文をつくると

昆虫って地球の生き物だと思ってたけど宇宙の生き物だった!

この様に、気づきを与えることがハッとさせる構成には必要になってきます。


さて、ひとまずわたしが面白い記事を作る際に考えていることを書いてきましたが、これで終わりではありません。これは面白い記事を作る際に考えていることの一部でしかないのです。今回は、その中でもかなり大事だと思うことを書きました。

他にはどんなことがあるの?!

と考える人は、読んだ報告書を要素分解し、それぞれの要素や展開を分析的に見てみましょう。きっと新たな気付きがあるはずです。

沢山のことを書きましたが、これらがあなたの創作活動の際に目の前の道を照らす灯になることを切に願っています。