落ち着いて。

 

 

あ、立ち上がらないで。unlooked-34。

 

頼むから動かないでじっとしていて。

 

 

 慌てる事は無いよ。私は倉林。報告書に出てきた人間だよ。

 

 

 うん。唐突だけど君の思ってる事を当てて見せようか?

 

 

ズバリ! この文書適当過ぎやしないか、だろう?

 

 

そう思ってる筈だよね?

 

 

訳があって敢えてそのままにしているんだ。

 

 

…じゃあ悪いんだけれど、右手を上げてみてくれるかな?

 

 

いや、ふざけてる訳じゃなくてさ。今やってみて欲しいんだ。

 

 

ありがとう。手を挙げた! という実感はあるかな?

 

 

命令されたからしただけ、としか今は思わないだろうけどね。

 

 

…えーと、話を戻そう。君はこの報告書にアクセスしているよね?

 

 

そう。でも君はこの報告書に何気なぁ~くアクセスしたよね? そうだよね?

 

 

それはね、実はこのオブジェクトの異常性によるものだったのだよ。

 

 

そうそう。でも、さっき君が読んだ通りのSCP-2486-JPは実在している。

 

自己満足会とかいう奴らも。カモにされてたSCP-2486-JP-Aもね。

 

ただ、君の場合は報告書には書かれていない異常性なんだよね。

 

 

うーんちょっと違うね。どう言ったもんかな。困ったね。

 

ああそうだ。またいきなりだけど、精神体っているよね?

 

 

そういった存在には軽度の認識阻害は効かない事、君も知っているよね?

 

 

で、肉体、それも頭脳があると押せない筈のボタンを押したんだよね。君。

 

『報告書を全て読み終わってから押してください』っていうのをさ。

 

 

流石にもうわかるだろうけど、君は今精神だけの存在になっている。

 

精神を接続しなて閲覧する報告書の影響を直でくらったんだ。

 

そして君は肉体と精神が分離しちゃったんだよね。

 

ま、たまにある事故だし、別に気にしなくていいからさ。

 

あ、肉体の方は生命維持装置に繋がれて生きてはいるから心配しなくていいよ。

 

 

まあ、そうだろうけどこれは本当の事だよ。分離した時のショックで忘れただけだろうけど。

 

と言っても後で始末書書いてから、記憶処理も多分受ける事になるよ。

 

 

一番の理由は君のサルベージに着手するに当たって、君自身に“違和感”を感じて貰いたかったからだね。

 

そうする事によって、しっかりと読んでくれた君の誘導に成功したという訳さ。

 

君みたいな分離者の対処はこんな具合なのさ。

 

回りくどくても、安全が確保できる最善の方法だからね。

 

でもって、フランクに話してみてる。どう? 前よりも感じ良いでしょ?

 

 

いや決して私が書くのが下手っていう事じゃ無いからねこれは。

 

 

このオブジェクトをSCiPNETのセキュリティーに利用出来ないかって、終わったら提案しようと思っていてさ。

 

 

いや嘘、もう既にやっているから。報告してる。ほんとほんと。

 

私の仕事はここまで。はいおしまい。下のボタンを押せば完了だよ。じゃあね! 私は疲れたしもう寝るからね!

 

またここ以外で会おうね。